速記とは

速記とは、話された言葉をありのままにすぐさま書き取るための方法です。そのために、簡単な符号の体系を用いたり、キーボードを使用したり、コンピューターを利用したりします。
電話や会議のメモをとるときに、自己流で頭文字やキーワードを書くことがありますが、のちに普通の文章に書き直して整理しておくと、記録として活用できます。実は、このように言葉や言い回しを省略してすばやく書きとめることが、古代から続いている速記の原理です。

文字は早書きするために速記化現象が生じる

日本では平安時代に片仮名と平仮名が成立しました。平仮名は、漢字の草書体がさらに崩れてできた文字です。片仮名は、漢字の楷書体の一部を取り出して書かれた文字です。

安からあ、阿からアへの変化
「安」から「あ」、「阿」から「ア」ができました。

古代のエジプトでは象形文字が発達しましたが、大理石に刻まれたヒエログリフ(聖刻文字)からパピルスに書かれる草書体のヒエラティックへ進化しました。中国の漢字も複雑化と真逆に、行書、草書が生まれ、すらすらと速くかけるようにも進化しました。平仮名、片仮名、それにヲコト点は日本固有の言葉や日本語を書き記すために自然に生まれてきた文字体系です。

音の書きあらわし方は音節単位が多い

手書き速記で使う視覚記号を速記符号、または速記文字と呼びます。以下、速記符号と書きます。

手書き速記の符号体系は基本的には五十音図に準拠して考案されています。今日の近代速記理論では日本語にある音節を符号であらわす表音主義が原則です。速記方式によって異なりますが、日本語の基礎音に対して基本符号を設定することが多く、例えば「とうきょう」は、「とう」と「きょう」の符号を書いてあらわします。それらは一つの単語なので「とうきょう」と一筆書きにされるのが普通です。

多くの場合、速記の基礎符号は、幾何図形の一部から取り出した線を用いてつくられています。曲線か直線か、水平か斜めか、長いか短いか、大きいか小さいか、太く書くか、細く書くか等で音の違いをあらわします。
例えば衆議院式では「ヒ」はhi.gifと書きますが、「ヒ」の倍の大きさのha.gifは「ハ」です。しかし、符号を大きく書く癖があって、どうしても「ヒ」が「ハ」になってしまうなら、ハはさらに大きく書けばよいのです。自分さえ「ヒ」と「ハ」の区別がつけば問題ありません。速記符号は他人に読ませるものではありませんから。ただし、余り大きな符号はスピードが出ないので、速記者は小さい符号を書くように心がけています。

速記符号はこのように続けて書きます。

ani_ohayou.gif
「おはようございます。」(衆議院式)

速記では、基礎符号を出発点に、さまざまな省略理論を駆使して言葉ごとに簡単な符号を生成してすばやく書き取り、それを普通の文字に書き直し(これを反訳と言います)ます。